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建設業における女性労働者

OTHERS2020.06.30

前回、建設事業主向けの助成金を取り上げました。

その中で、「トライアル雇用助成金」「人材確保等支援助成金」において、

女性労働者の入職や定着に対するコースが設けられていました。

 

そこで、今回は、建設業における女性労働者について、取り上げたいと思います。

 

国土交通省は、2014年8月に「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定し、

官民一体となり、女性の入職促進や就労継続に向けた様々な取り組みを実施してきました。

 

その結果、女性技術者は2014年1.1万人から2018年1.8万人へ、

女性技能者は2014年8.7万人から2018年10.4万人へと増加しています。

 

この取り組みを更に促進するため、今後の5年間を見据えた新たな計画として、

2020年1月に「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画〜働きつづけられる

建設産業を目指して〜」が策定されました。

 

行動計画の目標と主な取組内容は以下の通りです。

 

<働きつづけられるための環境整備を進める>

『「女性の入職者数に対する離職者数の割合」を2024年までの間、前年比で減少させる』

 

建設業における25歳から49歳までの離職者は、男性は男性離職者全体の40%、

女性は女性離職者全体の60%を占めていることから、子育世代の就労継続が課題です。

そこで、主な取組として、柔軟な働き方(短時間勤務制、テレワークなど)ができる環境や、

産休や育休からの復職前にリカレント教育・復帰支援などを受けられる環境の整備、

また、働きやすい現場の労働環境として、工事現場において快適トイレや更衣室などの導入促進

などを今後の取り組みとして挙げています。

 

<女性に選ばれる建設産業を目指す>

『「入職者に占める女性の割合」を2024年までの間、前年比で増加させる』

 

前計画策定後、入職者に占める女性比率は上昇していますが、他産業と比較すると低い状況です。

そのため、建設産業の魅力、働きがいの発信などによるイメージ戦略(教育現場と連携したP R活動など)や、

女性定着に関して関心が低い企業や業界団体に対して、女性定着の好事例などの情報提供を行い、

経営者や管理職の理解を促進するなどの取り組みが挙げられています。

 

<建設産業で働く女性を応援する取組を全国に根付かせる>

『2024年までに新計画の内容の認知度100%を目指す』

『2024年までに都道府県単位で活動している団体「建設産業女性定着支援ネットワーク」への

加入をすべての都道府県で目指す』

 

前計画の普及と周知に課題があったことから(76%の企業が内容を知らないとの調査結果)、

今回は計画の認知度を高めるための広報活動と、「建設産業女性定着支援ネットワーク」の充実・全国展開を行い、

地域中小建設企業における女性技術者・技能者の確保・育成をしていくための取り組みを行うとしています。

(「建設産業女性定着支援ネットワーク」とは、女性活躍を推進する団体間での交流や

取組事例などの情報を共有するために構成されたネットワークです。)

 

行動計画により国としての方向性が示され、それに伴い、女性労働者に関する助成金も設定されています。

助成金を活用しながら、女性労働者の確保と就労継続の取り組みを検討されてみてはいかがでしょうか。

労働環境の改善に関する取り組みは、性別関係なく働きやすい環境づくりつながると思います。

 

社会保険労務士 松田

 

<参考資料>

国土交通省H P 建設産業における女性の定着促進に向けた取組について