パワーハラスメント対策の義務化
- OTHERS2020.06.10
2020年6月1日より、職場におけるパワーハラスメント防止のために、
雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。
厚生労働省「2016年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査」では、
・パワーハラスメントの発生状況として、従業員向けの相談窓口ではパワーハラスメント(32.4%)が最も多い。
・パワーハラスメントの予防・解決に向けた取組実施率は、全企業で52.2%であり、
2014年度調査結果と比較し、実施率は高くなった。
しかし、従業員1000人以上の企業で88.4%、従業員99人以下の企業で26.0%であり、
小規模の企業になると設置率は低くなる。
との結果が報告されており、これを受けて、パワーハラスメント防止対策が検討されてきました。
そして、労働施策総合推進法が2019年5月に改正され、
事業主による職場におけるパワーハラスメント防止のための雇用管理措置が義務付けられました。
なお、中小事業主については、2022年4月1日から義務となりますので(それまでは努力義務)、
早めの対応が必要です。
職場におけるパワーハラスメントとは・・・
①優越的な関係を背景とした
②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
③労働者の就業環境が害すること
であり、①から③までの3つの要素をすべて満たすものです。
客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指導や指示については、
職場におけるパワーハラスメントに該当しません。
個別の事案が、パワーハラスメントに該当するか判断するに当たっては、
事案における様々な要素(言動の目的、経緯や状況、業務の内容、苦痛の程度など)を
総合的に考慮して判断することが必要です。
改正に伴い、事業主・労働者の責務や講ずるべき防止措置等が指針に定められました。
<事業主の責務>
・職場におけるハラスメントを行ってはならないこと、
その他職場におけるハラスメントに起因する問題に対する労働者の関心と理解を深めること
・雇用する労働者が他の労働者(取引先の労働者・求職者を含む)に対する言動に必要な注意を払うよう、
研修を実施する等、必要な配慮を行うこと
・事業主自身(法人の場合はその役員)が、ハラスメント問題に関する関心と理解を深め、
労働者に対する言動に必要な注意を払うこと
<労働者の責務>
・ハラスメント問題に関する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に注意を払うこと
・事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること
<事業主が講ずるべきパワーハラスメントの防止措置>
・事業主の指針等の明確化及びその周知・啓発
・相談に応じ、適切に対応するための必要な体制の整備
・職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
・その他、併せて講ずべき措置として、
相談者・行為者等のプライバシーを保護するための措置を講じ労働者に周知すること
相談したことを理由として、解雇その他不利益取り扱いをされない旨を定め労働者に周知・啓発すること等
具体的にどのような防止措置を行えば良いか、事業主の方針を規定したいなど、
お気軽にお問い合わせください。
社会保険労務士 松田
厚生労働省
職場のパワーハラスメントに関する実態調査
職場におけるハラスメント防止のために