建設業者様の給与計算から明細発行までアウトソーシングなら給与計算センターへお任せください。税理士事務所の運営だから安心して一括でご依頼することが可能です。

お問い合わせ 048-834-6000 電話受付 9:00~17:00(土日祝日を除く)
お問い合わせはこちら
ブログ

生産性向上

働き方改革2020.06.04

今回は「建設業働き方改革加速化プログラム」の3つ目の分野「生産性向上」についてです。

 

長時間労働の是正、技術と経験にふさわしい給与の実現、

社会保険加入の徹底等の実現には、企業の費用負担が発生します。

そのため、仕事を効率化し、生産性を向上させていくことが不可欠であると考えられています。

 

そこでこの分野では、「i-Constructionの推進等を通じ、建設生産システムのあらゆる段階における

ICTの活用等による生産性の向上を図る」ことを目的としています。

「i-Construction」とは、ICT(情報通信技術)の新たな技術を建設現場で活用しようとする取り組みです。

 

具体的な施策の進捗状況は以下の通りです。

 

○公共工事の積算基準等を改善

2020年度より国土交通省の土木工事・業務の積算基準等が改定されました。

これにより、週休2日の実現に向けた環境整備として、

労務費、機械経費、間接工事費の補正係数や

4週8休を前提とした経費の積算方法が見直されました。

また、中小の建設企業によるI C T活用を促すため、

I C T施行に伴う出来高管理及びデータ納品に要する費用について、

通常工事に比べ増加する分の補正係数の設定などが新設されました。

 

○建設業許可等の手続き負担の軽減

2022年度より、建設業許可申請・経営事項審査申請の電子申請が開始される予定です。

また、電子申請に先立ち2020年度から、建設業許可申請時等において提出が必要であった

下記の申請書類が簡素化されています。

 

・国家資格者等・監理技術者一覧表

・営業所に関する書類(営業所の地図、不動産登記簿謄本又は不動産賃貸借契約書等の写し等)

・使用人の健康被保険者証カードの写し 等

・経営業務管理責任者等の住民票および使用人の委任状 等

 

○技術者配置要件の合理化を検討

建設業法の改正に伴い、2020年10月に「主任技術者の配置義務の合理化」が施行され、

一次下請が技術者を選任配置する場合、2次下請の主任技術者の配置を不要とする

「専門工事一括管理施行制度」が創設されます。(ただし不要となるには要件があります。)

 

この他にも、生産性向上に積極的に取り組む建設企業等を表彰するi-Constructin大賞の対象拡大、

建設キャリアアップシステムの活用による書類作成等の現場管理の効率化等、様々な施策が進められています。

 

一般社団法人日本建設業連合会では、生産性向上に取り組むための指針として

「生産性向上推進要綱」を2016年4月に策定しました。

その後、日建連の2018年度調査によると、工員一人当たりの生産性指数(完全工事高(円)➗人工(人日))は

2015年度以降、毎年上昇(土木のみ2018年度下落)しており、

生産性向上に取り組む企業が増え、着実に成果が上がってきているとの結果が出ていました。

その後の状況や、現場の実感が非常に気になるところです。

 

今回で「建設業働き方改革加速化プログラム」は最終回です。

プログラムに関連した施策を見ていくと、国土交通省と建設業界が一丸となり、

働き方改革に取り組んでいることが見えてきました。

 

日建連の週休二日実現行動計画では、基本方針のひとつとして

「建設企業が覚悟を決めて一斉に取り組む」ことを挙げています。

個々の施策は、手間や費用が掛かり、すぐには効果が表れないかもしれません。

しかし、働き方改革が目指す、人材の確保と育成、業界の存続や発展のためには

建設企業が覚悟を決めて一斉に取り組むしかないのかもしれません。

 

社会保険労務士 松田

 

参考資料

国土交通省:i-Construction〜建設現場の生産性向上の取り組みについて

令和2年度国土交通省土木工事・業務の積算基準等の改定

建設業許可申請等における書類の簡素化について

建設工業新聞:2019年9月24日

一般社団法人日本建設業連合会:生産性向上推進要綱 2018年度フォローアップ報告書