給与・社会保険:一人親方化抑制対策
- 働き方改革2020.05.24
今回は「一人親方化抑制対策」について、取り上げたいと思います。
国土交通省は、「建設業働き方改革加速化プログラム」を踏まえ、
これまでの社会保険加入対策を更に発展させるため、
「建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会」を設置しました。
2020年2月に開催された協議会においては、「一人親に関する調査結果」
(令和元年度社会保険の加入及び賃金状況等に関する調査より)が示されています。
調査結果は下記の通りです。
・約30%の企業は専属的に従事する一人親方を抱えており、従業者9人以下の企業に限定すると、
そのうち約45%の企業は、社員よりも専属的な一人親方の方が多い現状にある。
・約26%の企業が直近5年において一人親方が増加していると回答しており、
一人親方化が一定程度進行している。
この結果から、社会保険加入対策が厳しくなるに伴い、社会保険料の支払いを逃れるため、
一人親方が増えており、今後さらに増加するのではないかと考えられてます。
そもそも、「一人親方」とは、業務委託や個人請負で現場に入る事業者であり、労働者ではありません。
そのため、会社の加入している雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入対象ではなく、
個人で、市町村国民健康保険または国民健康保険組合・国民年金・労災保険(特別加入)に
加入することになります。
労働者でないことから、働き方改革関連法に基づく、有給休暇の取得義務や、
時間外労働の罰則付き上限規制なども適用されません。
しかし、委託や請負契約を結んでいても、実際には、仕事の指示や指揮監督を受けて働いており、
労働者に当たると判断される場合が見受けられます。
その場合、社会保険料の支払いや法規制を逃れるために、
一人親方を選択していると判断される可能性があります。
「社会保険加入に関する下請指導ガイドライン」でも、
「雇用関係にあった労働者と請負契約を結ぶことは、たとえ請負契約の形式であっても、
実態が雇用労働者であれば、偽装請負として労働関係法令に抵触するおそれがある」
とされています。
国土交通省は、2020年4月に「一人親方化の抑制対策リーフレット」を作成し、一人親方に配布しました。
リーフレットには、一人親方自身に働き方を考えてもらうチェックリスト
(一人親方・労働者のどちらが適切な働き方なのか)や、
加入年金による将来の年金受給額の差額(国民年金と厚生年金では2000万円近い差となる)など
が記載されています。
また、「規制逃れを目的とした一人親方化抑制対策に関する検討会」が設置され、
2020年度末までに一人親方化抑制施策がまとめられる予定であり、
今後、一人親方化抑制対策は強化されることが予想されます。
そのため、現在、一人親方として働いている方、専属的に従事する一人親方がいる企業は、
働き方や加入する社会保険などを見直しておく必要があるかと思います。
一人親方に関する疑問や質問がございましたら、お気軽にご相談ください。
社会保険労務士 松田
参考資料
建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会(第3回資料):「社会保険加入の最新状況について」「社会保険加入対策」