労働者の過半数代表の選出
- 就業規則2020.11.20
「時間外労働・休日労働に関する協定書(36協定)」などの労使協定を締結する際、
事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合については、
会社は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、労使協定を締結する必要があります。
過半数代表者を適切な手続きで選出していない場合、締結した労使協定などが無効となる可能性があります。
そこで今回は、労働者の過半数代表者の選出について確認したいと思います。
<過半数代表者とは>
労使協定の労働者側の締結当事者は、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は、その労働組合です。
過半数労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)が、締結当事者となります。
また過半数代表者は、就業規則の作成・変更の際に、その就業規則への意見者となります。
<過半数代表の要件>
〇労働基準法に規定されている管理監督者でないこと
→一般的には部長、工場長など、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人。
ただし、代表にはなれませんが、過半数を算出する労働者には含まれます。
〇労使協定等の締結者、就業規則への意見者としての過半数代表者の選出である旨を明らかにして行われる
投票・挙手等で選出された者であること
→何のための代表者の選出であるかを明示して、投票・挙手等を行い労働者の過半数の信任を得る必要があります。
<過半数代表の選出の流れ>
①過半数代表者を選出すること、立候補を募ることを周知する。
②立候補があった場合、その立候補者で良いか投票・挙手などで、労働者の過半数の信任を得る。
③立候補がない場合は、推薦を募るまたは立候補してみないかと個別に声掛けをする。
④③の結果、候補となった者について、投票・挙手などで労働者の過半数の信任を得る。
⑤過半数代表者が選出されたことを周知する。
<よくあるパターン>
社長が代表者を指名→×使用者の意向による選出は認められません。
親睦会などの幹事が代表者になる→×労使協定等の締結のために選出された者ではないので認められません。
総務人事担当者が代表者を務める→△管理監督者でなければ代表者となることは可能ですが、
適切な選出手続きを行い、労働者の過半数の信任を得る必要があります。
立候補者がいないので立候補を促す→〇立候補することを指示する、代表者に指名することは認められませんが、
立候補者がいない時に声掛けをすることは可能です。
なお、過半数代表者の任期は、法律上の定めはありません。
労使協定の締結毎に選出することが最も適切ですが、毎回選出するのは大変です。
とはいえ、入退社による労働者の変動がありますので、定期的に選出することは必要であると考えられます。
任期を定める場合は、1年単位で締結する労使協定が多いため、1~2年の任期としている会社が多いようです。
社会保険労務士 松田