未払賃金の請求期間について
- 給与計算2020.11.06
2020年4月1日から、未払賃金を請求できる期間が延長されました。
これまで2年とされていた賃金請求権の消滅時効期間が、5年に延長され、当分の間は3年となりました。
<賃金請求権の消滅時効期間の延長>
・2020年4月1日以降に支払期日が到来する、全ての労働者の賃金請求権が延長対象です。
・消滅時効期間は、賃金支払期日から5年に延長されましたが、当分の間は3年です。
・消滅時効期間延長の対象となるもの…金品の返還、賃金の支払、非常時払、休業手当、出来高払制の保障給
時間外・休日労働等に対する割増賃金、年次有給休暇中の賃金、未成年者の賃金
・退職金請求権(現行5年)などの消滅時効期間に変更はありません。
また、2020年4月1日以降に、割増賃金等の支払いがされなかったなどの違反があった場合、
付加金を請求できる期間も、これまでの2年から5年に延長され、当分の間は3年となりました。
付加金とは、裁判所が、労働者の請求により、事業主に対して未払い賃金に加えて支払いを命じることができものです。
(付加金制度の対象…解雇予告手当、休業手当、割増賃金、年次有給休暇中の賃金)
これまで会社は、労働者から未払い賃金の請求があった場合、
2年前まで遡って未払い賃金を支払う必要がありましたが、今後は3年前まで遡って支払う必要があります。
(延長の対象は、2020年4月1日以降に支払期日のある賃金請求権のため、4月1日以前の賃金請求権は2年です。)
そのため、今後、請求があった場合に支払うべき未払い賃金と付加金は、以前より高額となります。
また、2年分では少額のため請求を諦めていた場合でも、
3年分であれば専門家に依頼して(費用を払って)請求しようと考える可能性もあるかもしれません。
そのような状況に備えて、会社は、労働時間の管理、割増賃金の計算が正しく行われているかなどを、
早急に見直す必要があると思います。
例えば、固定残業代に見込んだ残業時間を超えた残業時間については追加の残業代を払っているか、
管理職への深夜残業代を支払っているかにも注意が必要です。
当センターに給与計算をご依頼いただく際は、労働時間の管理や割増賃金の計算についてもアドバイスをいたします。
お気軽にお問い合わせください。
社会保険労務士 松田