年次有給休暇の時季指定
- 働き方改革2020.10.21
10月は「年次有給休暇取得促進期間」です。
ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、政府は2020年までに年次有給休暇の取得率70%とすることを目標としています。
しかし、2018年の取得率は52.4%であり、まだまだ目標には近づいていません。
今回は、年次有給休暇の取得促進のため2019年4月より適用されている
「年次有給休暇の時季指定」について取り上げたいと思います。
〇年次有給休暇の時季指定とは?
2019年4月より、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対して、
毎年5日間、年次有給休暇を取得させることが必要となりました。
そこで、5日間取得していない労働者に対して、
使用者は時季を指定して年次有給休暇を取得させる必要があります。
〇時季指定の注意点は?
・時季指定の際は、労働者の取得時季の希望や意見を確認したうえで、使用者が時季を指定します。
・全ての労働者には、管理監督者・パートタイム労働者等も含まれます。(次有給休暇10日以上の付与される場合)
・年次有給休暇付与日数10日以上に、繰り越した年次有給休暇は含まれません。
・労働者自ら請求による取得、または計画的付与制度による取得により、年5日を取得した場合、時季指定は必要ありません。
・時間単位の年次有給休暇の取得分は、5日間から差し引くことは出来ません。(1日・半日単位は差し引きます。)
・5日間は、年次有給休暇を付与した日から1年以内に取得しなければなりません。
〇5日取得できなかった場合の罰則は?
年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合は、30万円以下の罰金が労働者1人毎に科されます。
〇会社がやるべきことは?
・年間5日間取得しているか、年次有給休暇管理簿を作成し管理(3年間保存)
・時季指定を行う場合は、就業規則に時季指定を行うことを規定
年次有給休暇を取得することは労働者の心身の疲労の回復、生産性の向上など
会社にとってもメリットもあると考えられています。
年次有給休暇の取得率が低い会社では、まずは会社が時季指定を行うことで、
労働者が休暇を取得しやすい雰囲気・職場環境づくりを行い、
会社の時季指定なく自ら休暇を取得できるようになることが大切ではないでしょうか。
社会保険労務士 松田