給与計算の端数処理
- 給与計算2020.07.22
給与計算していると、「端数処理」に迷うことはないでしょうか。
今回は、給与計算の「端数処理」ついて取り上げます。
通常の給与計算では、下記のような場合に端数処理が発生します。
「労働時間の集計」
「パートタイマーの給与計算」
「残業時間、割増賃金の計算」
「遅刻早退時間、遅早控除の計算」
「欠勤控除の計算」
これらの「端数処理」については、労働基準法の通達で定められています。
<労働時間・残業時間の端数処理>
・1日ごとの労働時間・残業時間については1分単位で計算する
・1ヶ月における残業時間等の合計に1時間未満の端数がある場合は、
30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるもよい
<賃金単価・割増賃金の端数処理>
・1時間当たりの賃金額及び割増賃金に1円未満の端数が生じた場合は、
50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げ
・1ヶ月当たりの賃金額及び割増賃金に1円未満の端数が生じた場合は、
50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げ
<遅刻・早退>
・1分単位で把握し、1分単位で控除額を計算する
(30分未満を30分に切り上げるなどは認められません。ただし「減給の制裁」として行うことは出来ますが、
その場合は、「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期間における賃金総額の1/10を超えない範囲」
でなければなりません。)
<1カ月の賃金>
就業規則に規定する場合は下記も認められます。
・1ヶ月の賃金額に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、50円以上の端数を100円に切り上げて支払う
・1ヶ月の賃金額に1,000円未満の端数が生じた場合、その端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うこと
<欠勤>
欠勤の場合の計算方法については、法律上の定めがありません。
以上の通達内容を踏まえて、会社毎に端数処理のルールを決めておく必要があります。
その際の考え方として、「支給する金額は繰り上げ、控除する金額は切り捨て」として、
従業員に不利益にならないようにするというやり方もひとつのではないかと考えます。
社会保険労務士 松田