一人親方等の労災保険 特別加入制度
- 社会保険2020.08.19
前々回は「建設業において加入すべき社会保険」についてまとめました。
その中で、労災保険・雇用保険は労働者のみ加入すべきであり、
中小企業の事業主や個人事業主、一人親方は対象とされていませんでした。
しかし、中小企業の事業主や一人親方であっても、仕事中の事故でケガや病気になる可能性はあります。
そこで、労災保険には中小企業事業主や一人親方などが加入できる「特別加入制度」が設けられています。
今回は、建設業における「一人親方等の労災保険 特別加入制度」についてまとめました
<特別加入者>
・労働者を使用しないで事業を行う、一人親方や自営業者、その事業に従事する人
・労働者を使用する場合でも、使用する日の合計が1年間に100日に満たないときは対象となる
・建設業においては大工、左官、とび職人などの方
<保険料・給付基礎日額>
「年間の保険料」は、「給付基礎日額×365日×18/1000(建設業の場合)」から決定します。
例えば、
給付基礎日額14,000円の場合は、年間保険料は「14,000円×365日×18/1000=91,980円」です。
<補償の対象>
「給付基礎日額(3,500円~25,000円の16段階で設定)」は、保険料や保険給付額を算定する基礎となります。
加入者の希望により申請時に選択し、その申請に基づき、労働局長が決定します。
<補償の対象>
保険給付の対象となる業務災害は、加入者が次に該当する業務を行っていた場合です。
・請負契約に直接必要な行為を行う場合
・請負工事現場における作業及び直接附帯する行為を行う場合
・請負契約に基づくものであることが明らかな作業を自家内作業場において行う場合
・請負工事に関する機械や製品を運搬する作業(手工具類程度のものを携帯して通勤する場合を除く)
およびこれに直接附帯する行為を行う場合
・突破事故(台風、火災など)により予定外に緊急の出勤を行う場合
通勤災害については、一般の労働者と同じように、保険給付の対象となります。
<保険給付・特別支給金>
特別加入者が業務災害または通勤災害により被災した場合は、保険給付と特別支給金が支給されます。
・療養補償給付、療養給付…病院等で治療する場合、治療が無料で受けられます。
・休業補償給付、休業給付…傷病の療養のため労働できない日が4日以上となった場合、
給付基礎日額の60%相当額が支給されます。(特別支給金あり)
・傷害補償給付、障害給付…傷病が治った後に障害が残った場合に、その障害等級に応じて、
年金または一時金支給されます。(特別支給金あり)
・傷病補償年金、傷病年金…傷病の療養開始後1年6か月を経過した日に傷病が治っておらず、
傷病による障害の程度が傷病等級に該当する場合に、
その等級に応じて支給されます。(特別支給金あり)
<加入手続き>
特別加入の手続きは、各都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体が行うことになっています。
そのため、特別加入を希望する場合は、特別加入団体に加入手続きの申し込みをします。
(特別加入をする者が多い場合は、独自に特別加入団体を成立させることも可能です。)
当センターでは、特別加入団体をご紹介し、手続きの申し込み等を代行いたします。
労災保険の特別加入を検討されている場合は、お問い合わせください。
社会保険労務士 松田